プラグマティズム - パース、ジェイムズ、デューイによるアメリカ哲学

概説

プラグマティズム(Pragmatism)は、19世紀後半のアメリカで誕生し、20世紀を通じて発展した哲学的運動である。その名称はギリシャ語の「pragma(行為、実践)」に由来し、観念や理論の意味をその実践的帰結において捉える哲学的立場を特徴とする。プラグマティズムは、チャールズ・サンダース・パース、ウィリアム・ジェイムズ、ジョン・デューイの三者によって創始・発展され、アメリカ独自の哲学的伝統として確立された。

プラグマティズムは、ヨーロッパ哲学における合理論と経験論の対立や、観念論と唯物論の二元論を乗り越えようとする試みとして生まれた。抽象的な形而上学的論争を不毛なものとして退け、思想の意味と価値をその実践的な効果と有用性において評価する。しかしプラグマティズムの三大思想家の間には大きな思想的差異があり、プラグマティズムを一つの統一的な学説として定義することは容易ではない。

パースのプラグマティズム

チャールズ・サンダース・パース(Charles Sanders Peirce, 1839年 - 1914年)は、プラグマティズムの創始者であり、同時に近代論理学と記号論の先駆者でもあった。1878年の論文「我々の観念をいかにして明晰にするか」において、パースは「プラグマティズムの格率(pragmatic maxim)」を提示した。「ある概念の対象がいかなる実践的効果を持ちうるかを考えよ。そのとき、それらの効果についての概念が、その対象の概念のすべてである。」

パースのプラグマティズムは本質的に意味の理論であり、概念の明晰化の方法論である。ある概念が有意味であるためには、それが実験的に検証可能な実践的帰結と結びついていなければならない。この立場は後の論理実証主義の検証原理に通じるが、パースはより広い「実践的帰結」の概念を用いており、単純な感覚経験への還元を意図してはいなかった。

パースはまた、真理を探究共同体の長期的な合意の収束として理解する独自の真理論を展開した。真理とは、無限に続く科学的探究の過程において最終的に到達されるであろう意見のことであり、個人の主観的確信ではなく、探究の社会的過程の理想的帰結として定義される。パースは後にジェイムズによるプラグマティズムの通俗化に不満を抱き、自らの立場を「プラグマティシズム(pragmaticism)」と改称した。

ジェイムズのプラグマティズム

ウィリアム・ジェイムズ(William James, 1842年 - 1910年)は、パースのプラグマティズムの格率を大衆化し、広範な影響力を持つ哲学運動に発展させた。ジェイムズは『プラグマティズム』(1907年)において、プラグマティズムを哲学的方法と真理の理論の両面で展開した。

ジェイムズの真理論は、真理の有用性理論と呼ばれる。「真なる観念とは、我々が同化し、妥当化し、確証し、検証しうるものであり、偽なる観念とはそれができないものである。」真理は事実との静的な対応関係ではなく、観念が経験の中で「うまく機能する」こと、すなわち実践的な有用性を持つことにおいて成立する。この真理論は、真理を固定的な実在の反映とする伝統的な対応説から根本的に逸脱するものであった。

ジェイムズはまた『宗教的経験の諸相』(1902年)において、宗教的信仰の心理学的分析を行い、信仰の真理性をその実践的・人格的効果において評価するプラグマティズム的な宗教論を展開した。「信じる意志」の権利を擁護し、科学的証拠が決定的でない場合にも実践的必要性に基づいて信仰を選択することの正当性を論じた。

デューイの道具主義

ジョン・デューイ(John Dewey, 1859年 - 1952年)は、プラグマティズムの第三の巨頭であり、ヘーゲル的観念論から出発してダーウィンの進化論を吸収し、独自の「道具主義(instrumentalism)」を確立した。デューイの哲学は、認識論・倫理学・美学・教育哲学・政治哲学の広範な領域にわたる。

デューイの認識論において中心的なのは「探究の理論(theory of inquiry)」である。『論理学——探究の理論』(1938年)において、デューイは思考を「不確定な状況」から「確定した状況」への変換過程として捉えた。知識は観照的な実在の反映ではなく、問題的状況に対処するための道具であり、その妥当性は状況を成功裏に変革できるかどうかによって評価される。

デューイの教育哲学は「為すことによって学ぶ(learning by doing)」の原理に基づき、教育を民主主義社会の形成と密接に結びつけた。『民主主義と教育』(1916年)は20世紀の教育哲学に決定的な影響を与えた。

新プラグマティズム

20世紀後半以降、プラグマティズムは「新プラグマティズム(neopragmatism)」として再興された。この動向の中心的人物がリチャード・ローティ(1931年 - 2007年)である。ローティは『哲学と自然の鏡』(1979年)において、デカルト以来の認識論的伝統を「自然の鏡」としての心のメタファーに基づくものとして批判し、表象主義的認識論の解体を試みた。

ローティは、真理を実在との対応として捉える伝統的な真理観を退け、真理を社会的実践の文脈における正当化(justification)の問題として再定義した。この立場は、プラグマティズムのみならず後期ウィトゲンシュタインやハイデガーの思想をも統合するものであり、現代哲学における分析哲学と大陸哲学の架橋を試みるものであった。

ヒラリー・パトナムもまた独自の「内的実在論」を経て「日常的実在論」に至り、プラグマティズムの伝統を現代の認識論と科学哲学の文脈で再活性化した。ロバート・ブランダムは推論主義的なプラグマティズムを展開し、言語の意味を推論的実践の中に位置づけた。

プラグマティズムの主要テーマ

プラグマティズムの三大思想家に共通する主要テーマとして、以下の諸点を挙げることができる。第一に反二元論であり、心と身体、理論と実践、事実と価値の厳格な二分法を拒否する。第二に経験の重視であり、イギリス経験論の伝統を継承しつつも、経験の概念を感覚的知覚に限定せず、より広い行為と環境の相互作用として捉える。

第三に可謬主義であり、あらゆる知識は暫定的であり、将来の経験によって修正されうるという立場をとる。第四に探究の社会性であり、知識は孤立した個人の営みではなく、共同体における協働的探究の産物であると考える。第五に民主主義の理念であり、特にデューイにおいて顕著なように、民主主義を単なる政治制度ではなく、人間の共同的生活の根本形態として捉える。

主要著作

  • パース『偶然・愛・論理』(論文集) — プラグマティズムの格率、記号論、科学の論理を含む。
  • ジェイムズ『プラグマティズム』(1907年) — プラグマティズムの方法と真理論を平明に叙述した代表作。
  • ジェイムズ『宗教的経験の諸相』(1902年) — 宗教経験の心理学的・哲学的分析。
  • デューイ『民主主義と教育』(1916年) — 教育と民主主義の関係を論じた教育哲学の古典。
  • デューイ『経験と自然』(1925年) — デューイの形而上学的立場を展開した主著。
  • デューイ『論理学——探究の理論』(1938年) — 探究の論理を体系化した認識論の主著。

関連項目