論理学 - 正しい推論の学問
論理学(Logic)は、正しい推論の形式と法則を研究する学問である。ある前提から結論が妥当に導かれるのはどのような場合か、推論の誤りはどのような構造を持つか、といった問いを探究する。論理学は哲学の一分野であると同時に、数学・計算機科学・言語学など他の学問の基礎でもある。
論理学の創始者はアリストテレスである。彼は三段論法の理論を体系化し、推論の妥当性を形式的に分析する方法を確立した。アリストテレスの論理学は「オルガノン(道具)」と呼ばれ、他のすべての学問に先立つ方法論的基礎として位置づけられた。中世スコラ哲学者たちはアリストテレスの論理学をさらに精緻化し、命題の分析や推論規則の体系化に貢献した。
19世紀後半、フレーゲによる記号論理学(数理論理学)の創始は、論理学に革命をもたらした。フレーゲは量化子と述語の概念を導入し、自然言語の曖昧さを排した厳密な形式言語によって推論を記述する方法を確立した。ラッセルとホワイトヘッドの『数学原理(プリンキピア・マテマティカ)』は、数学を論理学に還元する論理主義のプログラムを展開した。
20世紀にはゲーデルの不完全性定理が論理学と数学の基礎に衝撃を与え、タルスキの真理論が意味論的分析の基礎を築いた。現代論理学は、命題論理・述語論理の古典的体系に加えて、様相論理(可能性と必然性の論理)、直観主義論理、多値論理、ファジィ論理など多様な非古典的論理体系を発展させている。計算機科学の発展に伴い、論理学はプログラミング言語の基礎理論や人工知能の推論システムにも不可欠な役割を果たしている。